「菊」は一つの姿ではない
菊には、一輪を大きく咲かせるもの、小花が枝分かれするスプレータイプ、丸いポンポン咲き、細い管状花弁を見せるものなど、多様な花形があります。仏花の印象だけでなく、日常の飾り花や祝いのデザインにも使われます。
歴史と物語
環境省の新宿御苑は、1878年の「菊花拝観」に始まる展示の歴史を紹介しています。1949年以降は伝統を受け継ぐ菊花を一般公開し、江戸菊、肥後菊、伊勢菊、嵯峨菊など、地域で発達した古典菊と高度な仕立て技術を伝えています。
知っておきたい豆知識
新宿御苑の「大作り」は、接ぎ木をせず一株から一年以上かけて枝数を増やし、数百輪を半円形に仕立てる独自技法です。菊は、花そのものだけでなく、育て方と見せ方にも文化が積み重なった植物です。
庭や鉢で育てる
日当たりがよく、風から守られた場所と、肥沃で水はけのよい土が基本です。乾燥させすぎず、過湿も避けます。背が高くなる品種は支柱を使い、霜や冬の湿気への強さはタイプで異なるため、購入した品種の説明を確認してください。
切り花を楽しむ
花瓶を清潔にし、水に浸かる葉を取り除き、茎を切り戻します。複数輪のスプレー菊は、傷んだ小花を取り除くと全体が整って見えます。水の管理と品質保持剤は購入店・製品表示に従ってください。
贈る前の確認
菊を弔事だけ、祝事だけに固定するのは正確ではありません。一方で、受け手が持つ印象には地域差・世代差・個人差があります。色、花形、合わせる花、用途を花店に伝え、相手との関係に合う表現を選びましょう。
ペットと暮らす家では
ASPCAはキク類を犬・猫・馬に有毒と分類しています。届かない場所へ飾り、誤食や皮膚接触後の症状が疑われる場合は、植物名を伝えて獣医師へ相談してください。
花娘・菊へつながる
一つの意味に固定できない文化、多様な古典菊、出典を守る姿勢が、花暦編集室の校閲担当・菊の核になっています。